オフィスや店舗など商業利用を目的とする空間では、従業員や事業関係者をはじめ、お客様、株主など、全てのステークホルダーが日常的にサービスや製品を体感し、直接コミュニケーションが生まれてブランド・エンゲージを強めることのできる唯一無二の場所であると言えます。サービスのクオリティやホスピタリティを伝え、製品の品質や機能性を伝えることも重要ですが、姿勢や考え方、コンセプトなど、言葉では伝えきれない世界観までをも直感的に伝えることができるのがオフィスや店舗などの空間デザインです。言葉にはできないけれどもなんだか心地の良い空間、いるだけで安心できる空間、だれかに伝えたくなる空間、そんなオフィスや店舗デザインをブランドコンセプトから設計し、従業員やお客様をはじめとする全てのステークホルダーに、ブランドコンセプトが正しく伝わる空間デザインをしていきたいと考えています。
企業には、製品やサービスが必ず存在します。特定業務に特化した事業を展開する企業があれば、多角的に事業を展開する企業もありますが、どのような企業においても大切なのは、理念や姿勢など、企業DNAや事業方針などのコンセプトが正しく伝わる空間デザインであることです。個人の趣味・趣向や流行だけを追うのではなく、従業員やお客様をはじめとする全てのステークホルダーに、オフィスや店舗を通して自社らしさを感じてもらい、ブランド・エンゲージ強化と新たなファンづくりの場として機能させることが、空間デザインの役割だと考えています。
では、空間デザインはどのように計画していくべきなのでしょうか。テナントを賃貸してのオフィス・店舗づくりでは、現存する梁、電気配線、給排水管、通信環境などの設備や、貸主側の制約を把握するところから始まり、ブランド定義からコンセプト設計を行っていきます。「オフィスデザインにブランド定義とコンセプト策定は必要か」との質問を頂くことがありますが、コンセプトが定まることでオフィスデザインの方向性が明確に定まり、ブレなく空間デザインの検討ができるようになるため、オフィスデザインにもコンセプト策定は必要不可欠であると言えます。空間デザインで最も重要なのは、個人の趣味・趣向や流行だけを追うのではなく「自社らしさ(企業ブランドやコンセプト)」をデザインすることです。また、コストありきではなく「らしさ」を最大限に具現化し、そこから生まれる相乗効果を最大化することで、コストメリット(投資対効果)の高い空間デザインを提案していきたいと考えています。