オフィスは単なる「働く場」から「ブランドを体感する場」へと役割が大きく変わりつつあります。ただキレイなオフィスではなく、オフィスのあり方を通し企業ブランドやその世界観、コンセプトを従業員や事業関係者に伝え、企業DNA、理念、ポリシーの共有を行うとことで、従業員や事業関係者とのブランド・エンゲージ強化を図ります。ブランド・エンゲージ強化は、従業員のモチベーションを高め、売上向上や離職率改善へとつながります。
世界中で圧倒的な人気を誇るスターバックスは、なぜ世界中に多くのファンを持つのでしょうか。その秘密はスターバックスの掲げるコンセプト「Third Place(家庭でもなく職場でもない第3の空間)」にあります。スターバックスは美味しいコーヒーを提供する店としても有名ですが、スターバックスが最重視しているのは「お客様に安らげる場所を提供する」ことであり、その場のことを「第三の場所(サードプレイス)」と表現しています。そして、お客様にとっての「安らげる場所」が体現されている要因は、従業員の優れたホスピタイティによるところも大きいのですが、ホスピタリティを実践するのは従業員の皆様です。就業場所の空間デザインに誇りを感じ、従業員にとっても心地良い場所であるからこそモチベーションと忠誠心が高まり、スターバックスの一員として職務を全うしようと素直に思えるのです。
心地良い空間で過ごす時間は、就業時間であってもその人のライフスタイルそのものであり、とりわけ「長時間を過ごすオフィス空間は、プライベート空間と同様に心地よい空間であるべき」との考えが世間一般にも浸透してきています。言葉だけでは伝えきれない世界観や企業ブランドをオフィスデザインで具現化し、従業員や求職者と体感することで、言語化されたメッセージと共にビジョンやコンセプトまでもがスムーズに共有され、選ばれる企業ブランドの確立に繋がるのです。
多くの企業が据える課題のひとつに「従業員教育」がありますが、その多くは経験から身につく知識・技術の不足ではなく、応対や気遣いなどのホスピタリティにあるのではないでしょうか。仕事が楽しい、やりがいがある、一員である自分に誇りを感じられるなど、個々人のモチベーションがサービスのクオリティを高め、社風を形成するのです。そのため「従業員のモチベーションをいかにして高めるか」がお客様に愛される企業になる秘訣であると言っても過言ではありません。オフィス空間はすべてのスタッフが体感を共有できる数少ない場ですので、企業ブランドや商品・サービスコンセプトをオフィス空間で具現化することで皆が同じ目標に向かい、意欲的に働くことのできる場にすることが重要で、目指すべくは「その企業の一員である自分を誇りに思える空間デザイン」なのです。